『膝痛 こだわりの保存治療』
医学書です。
整形内科研究会でお世話になっている谷掛洋平先生@エコーサムライの紹介です。
読むまえは、『整形外科専門医の本でむずかしいんじゃないの?』とかおもってたんですがそうでもなかったです。…
これは著者の宗田大先生のわかりやすい文章のおかげとおもいます。
膝痛をきたす変形性膝関節症(膝OA)ですが、レントゲンでも異常があっても痛みを感じない人のほうが多いとのことです。
現状、膝OAはTKAという手術でいえば、『膝痛の100人に1人しか人工膝関節手術をうけていない』とのことです。
つまり残りの人は、保存的治療となっているとのことです。
膝痛の原因をかんがえるうえで、関節内痛(軟骨摩耗)と関節外痛(線維痛)に分けて治療するとのことです。
手術するかどうかの鑑別方法のひとつとして『リドカインテスト』を紹介されています。
とうぜん、『レントゲンは意味がない』というわけでなくて、病歴や身体所見をふくめて総合的に判断するべきとのことです。
保存的治療としては、『痛点ストレッチ』を紹介されていました。
いわゆる徒手療法になるとおもいます。
ヒアルロン酸関節内注射についてもかいてありましたが、おもしろかったのは『関節外に注射しても効く』とはっきり書かれていることです。
いわゆるファシアリリースの効果をみとめておられます。
東京医科歯科大学でも膝蓋下脂肪体の線維化を研究されているのを紹介されていました。
宗田先生流膝痛の保存治療がいっぱいつまっているという感じで勉強になりました。
どの領域にもいえることですが、整形外科手術が意味ないというわけで絶対ないですね。
適切な診療をして、近隣の整形外科専門医と連携をとるのが重要とおもいました。