いままで書いてきた『認知症』は、老化というさけられないものからきています。
認知症をかんがえるとき、それぞれの人がもつ『死生観』も考えることになります。
鎌倉時代の禅僧で『道元』というかたがおられました。
アップルのスティーブ・ジョブズにも影響をあたえたといわれます。
その道元禅師のおことばを紹介します。
『無常たちまちに到るときは国王大臣親暱(しんじつ)従僕妻子珍宝たすくるなし、ただひとり黄泉におもむくのみなり、己にしたがい行くはただこれ善悪業等のみなり』
むずかしいですが、わかりやすく訳してみます。
『儚くも、死は一瞬でやってきて、権力者でも、政治家でも、忠実な部下でも、妻や子でも、財産でも助けることはできません。
ただ一人きりで黄泉の国に行くのです。
自分についていくのは、善と悪の行為と習慣だけなのです。』
身のまわりの人を大切にしましょう。
徳をつむ…とまではいいませんが、ふだんから、好かれるようなよいおこないをしましょう。
認知症になったとき、老いたときは、助け合いが大切なんだから。
…っていままで書いてきましたけど。
道元禅師のことばのように、老化や死はだれにも平等におとずれます。
金持ちだろうが、貧乏だろうが。
容姿端麗であろうが、なかろうが。
徳を積もうが、つまなかろうが平等です。
『あのひとはひどいひとだった』といわれようが『あのひとのおかげで助けられた』とおもわれようが、死んでしばらくたつと、そんなことさえ忘れられてしまうかもしれません。
それでも、おたがいがギスギスした関係でいるより、笑いあえる関係でいたほうがよいと思います。
やはりまわりの人は大切にしましょう。