関西では令和6年の夏から医療ドラマ『白い巨塔』がお昼に再放送されています。
主人公の財前五郎を唐沢寿明さんが演じていて、すごい迫力があります。
この主人公ですが、メチャクチャ腕の立つ外科医です。
手術中におもわぬことから出血したりしてピンチになったりするんですが。
冷静に対処して、難手術を完遂させたりします。
だれだって、手術してもらうなら財前教授みたいな達人にしてもらいたいでしょう。
ぼくだってがんになったらうまい人に手術してもらいたいです。
ここで考えてほしいのは、『いちばんうまいひとに手術してもらいたい』…という思いです。
ドラマじゃなくて、財前教授が実在したとしましょう。
日本中の人が『財前教授に手術してほしい。財前教授以外はイヤ』とかいってもムリなんです。
財前教授は一人しかいません。
一人が手術できる数も時間もかぎられているんです。
ほとんどのひとが財前教授の手術が受けられないということになります。
それに財前教授にしかできない難かしい手術があったとしましょう。
ほかの外科医では、こんな難しい手術はできません。
ムリして手術したら患者さんがどんどん死んでいってしまうでしょう。
つまり『財前教授しかできない難しい手術』とはきわめて危険で不安定な手術ということです。
財前教授にも寿命がありますから、財前教授がいなくなったらその手術はすたれてなくなるでしょう。
そこで最近の医療では『標準的な治療』というものに注目するようになっています。
財前教授みたいな達人であっても、達人でなくてもこの『標準的な治療』をおこなうことで、みんなが、まずまず満足できる治療結果が期待できるというものです。
とうぜん医師が『標準的な治療』を完遂するにはそれなりのトレーニングが必要です。
ある一定の能力をもった人が、それなりの努力をすることで完遂できる治療にするべきでしょう。
こうすれば、日本中の人がまずまず満足できるんじゃないでしょうか。
そもそも財前教授自身も、この『標準的な治療』には大賛成にちがいないと思います。
なぜなら、財前教授自身は財前教授に手術してもらうことはかなわないからです。
『標準的な治療』は最新の医学論文などを吟味してガイドラインとしてでています。
糖尿病の話がつづいていますが、糖尿病でも『標準的な治療』がでています。
次回は標準的な糖尿病治療としての『糖尿病標準診療マニュアル2024』を紹介します。